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サンプリング紀行 ~沖縄~

沖縄から北海道に引っ越してきて、夏の暑さから少しは解放されるかなと思った矢先のこの猛暑。沖縄の方が気温的には涼しいという衝撃的な事態になっております。


前回のブログから3ヶ月ほど空いたわけですが、6月にアオリイカの卵が手に入りました!現在飼育中で産まれてから2ヵ月ほど経ち、立派な群れを作れるようになりました。

こちらの卵は多くの方にご協力いただきまして、送っていただいたものです。初めて卵を送っていただくということもあり、色々不手際があり大変ご迷惑をおかけしたりしましたが、快く卵を送っていただき、ありがたい限りです。ご協力いただいた皆様、本当にありがとうございます。


そして、送ってもらってばかりではいかん!ということで、新たな卵を手に入れるために沖縄に行ってまいりました。

気温が北海道よりも低いとはいえ、日差しを直接浴びると焼ける感覚が分かります。朝7時の朝日の段階で、もう肌が焼ける感覚を感じていました。日焼けなんて生易しいものではなく、火傷です。腕やら足やらがもう真っ赤になって、動かすと痛い、シャワーを浴びるのも痛い、そんな状態です。毎年、サンプリングで首が焼かれていたものですから、首まである服を着て、対策バッチリ!なんて余裕こいてたら、半ズボンだったせいでふくらはぎが真っ赤になりました 笑。


さて、肝心のサンプリングですが、大型の台風が通過した後だったので、採りに行っても卵があるか不安でした・・・。

私の古巣である琉球大学の池田研究室のメンバー協力のもと、毎年卵を採りに行っていた場所に向かいました。

潜ってみると、例年に比べ藻場の成長がよろしくない・・・。台風の影響なんだとは思いますが、ちょっと想定外。これはもしかしたら見つからないかもしれないと、あきらめかけていました。

すると、一緒に行ってくれていたメンバーの1人が「向こうの方にありました!」と教えてくれ、そっちに向かって泳ぎ始めました。いつも見る場所とは少し離れていたので、完全なノーマークでした。見てみると、いつも産んでいる海藻とは違う種類の海藻に産んでいて、びっくり!

これが卵の写真なのですが、なかなかひどい写真になってしまった 笑。この日は潮が満ち気味だったんで、潜るのが大変だったのもあって仕方ないんですよ。

まあ、それはよいとして、この中央にある白っぽい塊が卵です。これらを2人がかりで潜っては採って、潜っては採ってを繰り返し何とか取り終えました。久々だったのもあって、苦しかった・・・。まだギリギリ20代なのに・・・。

そうして採れた卵を袋に詰めて北海道に送ることができました。とりあえず目的は達成できたー!ということでがんばって育てていきます。

やっぱり夏に採れるアオリイカの卵は、春に採れる卵よりも小ぶりだし、一房についている卵数も少ないんですよね。春の卵は一房に4-5個が多いのに対して、夏は2-3個が多いです。夏に産む成体のサイズも個体群サイズも小さいので、卵数が少なく小ぶりだというのが理由です。


無事卵は採れたのはよかったのですが、今回潜ってみて、海の環境がより悪化しているのではないかと感じました。年々藻場が減少しているという話を4、5年前に聞いたのを思い出しました。確かに、過去の先輩方が卵を見つけていた場所に行ってみると、海藻が全然見当たらなかったり、あっても範囲が狭かったりというのを、毎年目の当たりにしてきました。

サンゴの白化現象が近年著しいのは有名ですが、藻場の減少も多くの生物に悪影響を与えてしまいます。藻場は夏のアオリイカの産卵場になっているのはもちろんのこと、小型の貝類や魚類などが数多く生息し、高い生物多様性を維持しています。

沖縄のキレイな海を守るために自分には何ができるのだろうか、と強く感じました。生物学を専攻し、研究者として生きており、直接海の中を見ている身としては、こういった事実を多くの方に知っていただくというのも重要な活動なのではないかと思います。






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